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2025年5月21日
「スタートアップを急成長させたマーケティング戦略とは」イベントレポート
こんにちは!Bridgeでイベントを担当している松本です。
4/22(火)に開催された「スタートアップを急成長させたマーケティング戦略とは」のイベントの様子をお届けします!
イベント概要
今回のイベントはマーケターの方向けに開催されました。事業会社、支援会社、様々な業界でマーケティングに携わる方にご来場いただき、最終的には30名以上の方がご参加。終始大盛況のイベントとなりました。
主催である株式会社Bridgeの取締役/COO 坂本がモデレーターを担当し、2社の方々にご登壇いただきました。
・株式会社Hubble
AI契約業務・管理クラウドを展開するスタートアップ。総資金調達額は25億円。代表取締役CEOの早川 晋平さんにご登壇いただきました。
・株式会社HQ
福利厚生SaaSを提供するスタートアップ。創業4年で3つのプロダクトリリース。マーケティング責任者の馬場 貴之さんにご登壇いただきました。
※写真は運営・モデレーターのBridge社の面々と、登壇者の方々
イベント開始
スタートアップのリアルな成長現場とは?
HQ馬場×Hubble早川が語る「マーケティング投資から人材像まで」
2025年4月、WeWork リンクスクエア新宿で開催されたマーケター向けイベント。モデレーター(司会者)の質問を軸に、HQ株式会社の馬場貴之(以下、馬場さん)と株式会社Hubbleの早川晋平(以下、早川さん)が3つのトークテーマで語り合いました。
トークテーマ1:マーケティング投資の考え方
モデレーター: 「まずは、各社のフェーズに応じたマーケティング投資の考え方についてお聞かせください。」
馬場さん:
僕らはコンパウンド戦略といって、共通アセットを活用してプロダクトをどんどん出していくスタイルなんですよね。
だから、一つ一つのプロダクトの性質や狙う市場に合わせて、マーケティングと投資の方針をガラッと変えてます。
創業期は「リモートHQ」っていう、リモートワーク推進企業向けのかなりニッチなプロダクトからスタートしました。
市場も決して大きくはなく、HQの組織も非常に小さい状態なので、基本的にはピンポイントで需要のある企業を狙う事が(ABM)理想でした。
なので、CAC(顧客獲得コスト)が多少高騰する事より、ノイジーなリードが増える(増えやすいプロダクト性質)ことでISやFSの対応コスト(売上につながらない)が上がる方がリスクという価値観でした。
私が入社したシリーズA後半では、「カフェテリアHQ」っていう福利厚生ド真ん中の本丸プロダクトを出して、マーケティングも一気に広げました。
ただ、リードタイムが長いプロダクトだったので、仮説の段階で「これ押せる」「これはやめとこう」って売上逆算式に相当に推察をしながら施策ジャッジしてました。
シリーズB後は「コーチングHQ」という、ターゲットが広くてリードタイムが短いプロダクトを出しました。
これは打った施策がすぐ数字に出るので、マーケティングも回しやすいし、理想半年以内のペイバックを目指して動いてます。
大事なのは、プロダクト毎にちゃんとストーリーを立てて、そのリリースする順番を含めて熟慮すること。
上辺だけ他社の模倣に走ると、中途半端な結果を生みやすい。
あと、認知や信頼につながる投資、例えば「PIVOT」とかの大型メディア施策には、思い切って投資してきました。
直接回収できなくても、中長期的に効いていると手ごたえを感じつつやってます。
早川さん:
「振り返ってみたら、の話ですが基本的にはGlobis Capital Partnersの湯浅エムレさんの「シリーズA」というnoteを教科書をして、そのフェーズにおいて、どのような仮説検証を優先するかを大切にしてきました。
参考:https://note.com/emreyuasa/n/n03aca5b7a981
例えば、創業期ではそもそもニーズやマーケットがあるかどうかを検証するために、数十万円でティザーサイトをFacebook広告を回してみてどれくらい反応があるかを検証したりしていました。基本はエムレさんのnoteに記載の通りの考え方は変わっておらず、シリーズBの現在では調達した資金をスケールの検証、競合優位性を作るための投資のアロケーションを考えています。
トークテーマ2:失敗事例とその後の戦略転換
モデレーター: 「続いて、失敗事例とそこからの戦略転換について具体的に教えてください。」
馬場さん:
「Before/Afterのわかりやすい施策だと展示会でして。まず従来はKPIが名刺の獲得総数でした。なのでコンパニオンにお菓子を配ったりしてとにかく数を集めるスタイルでした。先ほども触れましたが、ノイジーなリードを捌くリソース負荷がきつく、たまにホームランを出すが無駄が多い印象でした。
そこでKPIを『名刺枚数』から『デモ商談数』に変更して、着席していただきプロダクトデモに自分たちで呼び込む運営に切り替えた結果、有効商談の数も効率も劇的に改善することができました。
コミュニケーションデザインも自ずとコンパニオンやお菓子という手法ではなく、エレベーターピッチを鍛え、目を引くブースデザインやコピーを考え抜き大きく進化しました。」
早川さん:
「僕らは、Hubbleを立ち上げた時に『マーケットそのものを作ろう』として失敗しました。 カテゴリーメイキングって、ものすごくコストがかかるし、そもそも需要がない場合もある。 そこで微妙に方向転換をして、『契約書のバージョン管理』から『契約書管理』というすでに存在したマーケットでポジションを取ったら、受注単価も受注率も劇的に改善しました。
お客様は何と比較しているかを意識してコントロールできるんだと気付き、ポジション取りの大事さを痛感しました。」
トークテーマ3:マーケターに必要な資質とは?
モデレーター: 「最後に、スタートアップマーケターに求められる資質についてお二人のご意見をお願いします。」
馬場さん:
「『本当にジェネラリストになる覚悟』が必要だと思っています。
得意・不得意に関係なく、あらゆる領域で手を動かしていかないと、スタートアップでは通用しません。
だからこそ成長できるし、手触り感がすさまじくて楽しいと自分自身感じます。
あとは、『速さと判断力』もめちゃくちゃ重要です。
たとえば、2週間かけて作ったクリエイティブでも、本来であれば少数のコンバージョン数だと良し悪しを判断し停止はしませんが、午前中に『これはダメだ』と判断したら、午後には施策をストップする、みたいなスピード感が必要だと思います。」
早川さん:
「マーケターは、『誰が購入したのか』『なぜ購買に至らなかったのか』を誰よりも高い解像度で理解して、施策に落とすことが大切だと僕は思います。
マーケター自身が、事業全体の意思決定に影響を与えられる存在になれると素晴らしいと思います。」
馬場さんと早川さんに共通していたのは、「行動力」「当事者意識」「経営視点」というキーワード。変化が激しい環境下で、自ら仮説を立て泥臭く実行し続けるビジョンが、これからのスタートアップマーケターに欠かせない資質であることが浮かび上がりました。
パネルディスカッション終了後に1時間の交流会を実施させていただきました。
交流会も終始熱を帯び、盛り上がっていました。
最後に
今回のイベントは、経営者の早川さん、マーケ責任者の馬場さんがそれぞれの企業で行っている施策、失敗事例等を赤裸々に語って頂きました。滅多に聞けるような内容ではない為、参加者の満足度もいつも以上に高かったと思います。
お越し頂いた方も、最後まで登壇者にご質問したりと積極的にご参加頂いた方も多かったです。また今回は登壇者の早川さんと馬場さんは笑顔が絶えず、主催側としてもイベントの進行もしやすく、イベント全体の雰囲気も良かったです。本当にありがとうございました!